早いもので、国会で公認心理師法が成立してから7年が経とうとしています。成立の報を聞いたとき、私は国際学会参加のためにクロアチアに滞在していましたが、軽い興奮とともに「やっと」という思い、「これからだ」という思いが頭の中を巡ったことを昨日のように思い出します。そして、当時の私は、まさか自分が今のような立場になろうとは夢にも思っていませんでした。
これまで一度も大学の研究職に就いたことのない私ですが、70年代から地域精神保健、精神科医療、社会福祉施設、私設(開業)心理相談機関などにおいて、アディクション問題や家族の暴力の問題を中心として、ひたすら多くのひとたちの相談援助にあたってきました。そこで培った経験だけが、今の私のすべての基礎になっていると言ってもいいでしょう。そして、大きな組織に属さなかった私にとって、公認心理師という国家資格は、現場で長年渇望していたものでした。
そんな私が、このたび本協会の会長に選出されました。さまざまな点で初めてのことも多く戸惑っていますが、私の原点は今の時代を生きる多く人たちの助けになること、この点だけは変わりません。国家資格である公認心理師の今後を見通し、関係機関との最大公約数的な連携をはかり、さらに、多くの人たちに公認心理師が信頼に足りる存在であることを知ってもらうために、任期をとおしてがんばりたいと思っています。
会員のみなさま、未来の会員のみなさま、そして公認心理師の援助・活動を必要としているみなさま、日本公認心理師協会および会長である私を今後もどうかお支え下さい。
以上をもってご挨拶とさせていただきます。
公益社団法人 日本公認心理師協会
信田 さよ子